きっと君は知っている

薄い耳の穴を
足音が埋めていく

世界が傾いていて 歩いていることを知る


例えば君の目が青いのは
青い鳥を身体に放したから

光沢を延ばした羽が飛び立つとき
私は追うことの出来ない掌だと 知る

きっと君は気付いてしまう

呼吸さえ満足に出来ない世界では
指も胎も名前も見えなくて
絡んだのは唯ひとつの 青い線
知っていたのは唯ひとり


暗闇に放った羽を見た
光が切り裂いた空気を吸い上げて
追うことのできない掌が 残るの

青いフィルターが剥がれ落ちて
濁り続けていく世界は
美しくも
汚くもない
真実のままで 歩いていく

きっと君は知っている

薄い耳の穴を
青い風が 通り抜けて

羽が
耳鳴りを 落とした







title:かさ
poem:リネン