あの時何を手にしていたのかは知らない ただ確かなのは、僕達の中にあった微かな光 その光を忘れた僕達 それはいつのまにか消えてしまっていた それでも僕達は それが何なのか それがどこから来たのか それが僕達に何の関係があるのか それが僕達にとって必要だったものなのかも 何も知らなかった いや、「知らなかった」のではなかったのかもしれない 僕達は「知っていた」けれども、もしかしたら「忘れてしまった」のかもしれな い それは僕達にとって忘れてよかったものなのか、忘れていけなかったのに忘れて しまったのか 故意か、偶然か、それとも事故か それを知る術はもう今となってはわからない 今わかっていることは僕達の中にある微かな光という記憶 それは幻想でもまやかしでもない、確かな事実 それでいいじゃないか 何かは忘れてしまった けれども僕達の中にはしっかりとしたものが存在する 微かな光 それは僕達、みんなが持っている確実な記憶だ そしてそれは僕達にとって大切な絆なんだ 記憶の絆 その光を忘れた僕達は 今、記憶の絆という光を手に入れた。 title:瀬名架実 poem:一月縁 |