夢のような話

恋焦がれし君は遥かに遠く
囚う過去に足掻き続ける中
眼に映る空には太陽は無く
荒れ果てた道が手足を攫み

心を渇かす風は
虚無を唄う・


そんな世界には厭き厭きだから
偶には夢のような話をしようか


例えば、
隣では恋焦がれた人が笑っていて

例えば、
後では自分が潔く手を振っていて

例えば、
上では明るい晴空が拡がっていて

例えば、
前では灯が燈った道が続いていて

僕は倖せだって心から叫べていて、


どうか醒めないで
   褪めないで


   冷めない で 、


初 め か ら 温 度 な ん て 持 っ て い な い 夢 な の に ?

そう気付いたときは既に晩し



恋焦がれし君は遥かに遠く
囚う過去に足掻き続ける中
眼に映る空には太陽は無く
荒れ果てた道が手足を攫み

心を渇かす風は
虚無を唄う・


そんな"現"が僕を呑み込む

戒めの如く。








title:憂菜
poem:翡翳











希望に溢れた印象を受けるタイトルでしたので、敢えてダークに致しました。
(翡翳)