切れない糸

この指先から続く糸は、確かに赤いと思っていたのに
いつの間にか色を失っていたんだね
貴方の不器用そうな、その指には
確かに綺麗な赤が繋がっているけど
その先にいるのは私ではなくて

きっとどこかで分かっていたのに
何年も経った今でも私は
貴方の生活が玩具みたいに見えている

いっそこの糸を切ってしまえば楽になれるのに
色を失ってしまった糸は
未だ私の指を きつく きつく 締め付けている
あの頃みたいに優しくしないで
特別扱いしてくれないで
それっぽっちの距離じゃ、手が届いてしまうでしょ?

この指先から続く糸は、とっくに色を失っているけど
手繰り寄せることも、新たな色をのせることもせず
互いに切ることなく繋がり続けている

私と貴方を繋ぐ、切れない糸








title:雨音
poem:あおい











“切れない”=“切る事ができない”という解釈で。
ホントはもっと、プラスなイメージの題なのかな?とも思ったのですが。
(あおい)