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 油断大敵、だろ?








  + ケアレスミス +








「理緒から手を引け。そうすればその娘ともども、今後一切手を出さないと誓おう」
「ふざけるな!」





 そんなこんなで。
 理緒との再戦に勝利した後、理緒の病室にて。





「取引成立だな。今後お前らに危害は加えないと誓おう、ナルミキヨタカの名に懸けて」
「………くそっ!!」















「あの日以来、鳴海さんが学校に来なくなって3日になります…」
 新聞部室にひよのが一人。
 机に突っ伏し、はあと大きく嘆息する。

 すると不意にどこからか、携帯の着信音が鳴った。
「??あ、あれは・・・」
 先日の理緒と歩の再戦のときに、浅月から渡された携帯電話だ。
 捨てるのも勿体無いし、ということで全機種対応の充電器に刺したまま忘れていた。

「鳴海さんでしょうか?」
 しつこく鳴り続ける携帯に手を伸ばす。
 この番号を知っているのは当然3人だけなのだから、今の状況では歩から掛かってきていると考えるのが自然だろう。


 しかし。


『よう、嬢ちゃん』
「あ、浅月さん!?」
 電話の向こうからは、実に楽しそうな浅月の声。







『どうだい、その後は?弟のやつはどうしてるよ?』
「学校に来られなくなって3日経ちます。…って、何ですかその白々しさ!!浅月さん、まさかあなたが鳴海さんに何かしたんじゃないですかッ!?」
『ッ…声でけぇよ、もう少しトーン下げろ!』
「下げていられますか!質問に答えて下さい!!!」
『はいはい。弟のやつ、今留置所じゃねぇの?よく知らんけど』
「りゅ、留置所!?どうして…」
『窃盗だよ』
「はぁあ!?」
『あの野郎、俺の愛車盗んでどっかやっちまったんだよ』
「…浅月さんが訴えたんですか?」
『だって自転車返ってこないんだもんよ』
「心せっっっっまいですね〜。見下げました」
『いや、窃盗罪を逆手に取ろうって考えはラザフォードだぜ』
「え??」
『て言うか。理緒の件から嬢ちゃんらを手ェ引かせたの、それだぜ?』
「……あの、どういうことでしょう……」
『つまり。俺の自転車を盗んで失くしちまったわけだろ?同居してる弟が自転車泥棒なんてことで騒がれちまったら、刑事の姉貴がどう噂されるか…って脅したんだよ。未成年の犯罪だから非公開だけどな。そこは俺たちが噂して回れば一発。根も葉もついたトンでもねぇ噂があっという間に立ち上る』
「…じゃあ、あれだけ盛り上がってた清隆おにーさんがどうのって言うのは…?」
『弟のやつがそういうことにしてくれって頼んできたんだ。カッコ悪いからってな。あの病室での会話、全部芝居。知らないの嬢ちゃんだけ。』
「…………」







「で、まぁ、そんなわけだ。嬢ちゃんが寂しくしてねーかなぁと思って電話したってワケ。」
『・・・結局。理緒さんの件はそちらの条件を飲むということで片付きましたよ!なのにどうして鳴海さんが留置所なんですか!』
「俺がこっそり被害届出した」
『つまりあなたのせいなんじゃないですか!!!ラザフォードさんのこと出して引っ張っといて…ッ テープはこちらがまだ持ってるの忘れたんですか!?』
「だって腹立ったんだもんよ。駅のベンチで嬢ちゃんの肩枕にして寝てやがった弟がよ〜」
『何ですかそれは!・・・もういいです、鳴海さんは私が出します!切りますよ!!』
「だろうなー。だからムカツくんだけど――・・・あ、切れた」




 満足そうに笑うと、携帯の電源を押す。

「来週からよろしく頼むぜ、ってのがホントの用件だったんだけどな…ま、いいか!弟の野郎は最低あと1週間出られねぇだろうし、その間に嬢ちゃんを…」

 そう言って浅月は、ハンガーに掛けられた月臣学園の制服を見つめ、にやりと笑みを浮かべて。









 結局歩は、例によってひよののコネにより、すぐに釈放されたっていうのはお約束。
 その後浅月はひよのにテープの約束の件をアイズに抗議され、アイズにこっ酷く怒られるのだった。














 終





え・・・!?

って話が書いてみたかっただけです。(激痛)