それって運命ですか?


















  + 叫ぶ夢 +


















 今日はひどく寝覚めがよかったんです 珍しく。
 実は鳴海さんが夢に出てきたんですよ。

 鳴海さんが私を信頼して何か仕事を頼んでくださるんです。
 すごく素敵なことじゃないですか。
 学校へ行く足取りも軽くなるってもんですよ。





 もしかしたら鳴海さんも 同じ夢を
 なんて考えてみるんですよ。














「なーるみさんっ」
「なんだよ…朝っぱらからご機嫌だな」
「そんなダルそうに…えへへ、鳴海さん、今日 夢、見ました?」
「あぁ?夢?? 夢か…夢なら見たな」
「!そそそれってどんな夢でした!?」



 だって ほら
 もしかしたらって期待もしてしまうものですよ。

 もし同じ日に同じ夢を見たんなら
 それって 運命 だと思いません? 鳴海さん。




「あんたが…」
「私が!?」



 何ですか何ですか。
 もしかして運命ですか鳴海さん






「マクドナルドで。 割り箸でハンバーガーを食ってた」



「………………………………」










 まぁ人生、そう上手くは行きませんよ えぇ行きませんよ。






 そうですよね。
 これが現実ですよね。

 言葉は届かない、
 同じ夢だって見ない、
 アンテナだって繋がってない。


 鳴海さん、私今結構傷ついたんですけど。
 その痛みだって届くはずはなく、
 ましてやまぁそれは鳴海さんに責任はないわけだから当然で。










 鳴海さんが夢に出てきたこと。


 私にとっては、すごく すごく 大事なことなんですよ。



 だって
 ほら




 今日から また ―――――――




























 また い つ も の








 闇がこの手を掴んで離さない、
 そんな夢。








『あ、あ"あぁ  ああぁあぁぁっ…………』







 行かないで
 とか
 連れていかないで
 とか
 痛い
 とか
 居たい
 とか

 誰ですか、人の頭の中で子どもみたいに泣き叫んでるのは。


 そう考えて
 それが自分の喉から出てきているものだと気づいて

 飛び起きるのは




 きっと今で千回はいくと思いますよ。








 分かりますか 鳴海さん
 あなたが夢に出てきてくださったこと、私がどれだけ嬉しかったか


 なのに一番伝わって欲しいあなたには、―――





「!!」


 真っ暗な部屋の中、響くコール音。
 驚いて飛び上がるように立ち上がって。
 枕元の携帯を手に取る。 横目で見た時計の針は午前3時を少し過ぎたところ。


「もしもし…鳴海さん?」
 画面に出ていた名前を呼ぶ。
 上がった息をできるだけ落ち着けて。
 ばくばく言う心臓の音があちらに届かないことを祈って。

 すると 向こうからは











「なんだよこの夜中から…」

「――え?」




「聞こえた よーな気がした。 声が」





「……声が、聞こえた 気がしたんですか?」





 何ですか鳴海さん。
 思わず笑ってしまうじゃないですか。





「あぁ。 ひどい声だったな」
「ひどい とは失礼 ですねー」
「大丈夫か」
「大丈夫じゃ ありません よー…鳴海さんのバカ」
「バカとは何だバカ娘」

















 一番伝わって欲しかったのは何でしょうか。

 あなたに伝わったものは何でしょうか。















 ほら





 届く


 聞こえる


 感じる


 大丈夫。



 キミがいる。














 ねぇ、鳴海さん



 これって運命ですか?





















  終







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愛してやまないりんごしゃんの、サイトさま10満打お祝いに献上させていただきました…!ひー! す すみません…愛だけはてんこ盛りなんで……(汗)

私的に鳴ひよは、カカア天下万歳ですし弟はひよひよいなきゃどうしようもない人だとは思うんですが。
同じくらい弟くんもひよひよをどこかで支えてる部分があって欲しいなー とか思うわけなのですよ。

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