そうやって、そう

 いつまでも。




  +ハミングバード+






 新聞部室でひよの、歩、浅月、理緒と、いつものメンバーが語らっていて。(亮子は部活らしい)


 すっかり打ち解けた(?)歩達とブレードチルドレンだが、ほんの数ヶ月前には、お互いの命を懸けた戦いまでしていたわけで。
 じゃあそろそろ、と言って席を立った浅月と理緒の二人を見送ったあと、ひよのがふと思い出したように言った。


「そういえば・・・出会ったばかりの頃は私達と理緒さん達って、すごく険悪でしたよね〜・・・」
 ひよのの言葉に頷いて、歩も記憶を辿る。
「あぁ。完全に敵同士だったしな・・・かなり前のような気もするが」



 思い出すのは、負傷した理緒を追い詰める為に病院に二人で行ったこと。

 理緒の出した勝負に屈したけれど、ただ一人、自分を強く信じてくれた人間がいたということ。




 そしてその人間が出した理緒への要求というのが。


「理緒さんと鳴海さんの再戦、でしたねー」
 懐かしむように、ひよのが笑って言う。













―――『な、何考えてんだあんたは!』

―――『何って・・・鳴海さんのことですよ?』












 迷いなど微塵もない、その言葉

 その笑顔。





 その場面を思い出し、歩が照れたように頭を掻く。
「んっとに・・・あんたは恥ずかしいことを平気で言う」

 歩の言葉に、ひよのもそれを思い出したのか、いたずらっぽく笑って言う。

「でも本当のことですよ?お気に召しません?」


「・・・あぁ、召さないな・・・・・・」
「へ?」

 ふっと小さく笑って言う歩に、ひよのがきょとん、と目を丸くした。












 本当に、気にしているのはいつも人のことばかり。








 だから。



「たまには自分のことを考えてろ」










 呟くように続けられたその言葉に、ひよのが楽しそうに笑って。









「大丈夫ですよ。私のことは、鳴海さんがいつも考えていてくださってるでしょう?」



























 何ひとつ、嘘のない空間。








 すべてを忘れて 幸福を信じられる、そんな。












 たとえそんな場所 ありはしなくとも。








 鳥が絶え間なく囀る梢のような

 そんな場所があると





 それがここだと 信じてみても




 いいと思った。















 終







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