嘘でもいいけど 本当だともっといい
でも こわいから
やっぱり嘘でいい




   フィサリス・フランシェティ




「カイン」
「――ん?」
「今朝、黒魔道士クラスの子に告白されただろ」
「……ああ、見てたのか」
「きみを好きだって?」
「…まぁ、嘘じゃないかと思うけど」
「どうして嘘でそんなこと言うのさ」
「……」
「結局断ったんだろうけど」
「…何でそう思うんだ?」
「断らなかったの?」
「断ったけど」
「ふぅん」
「…何でおまえが気にするんだよ」
「気になるよ、そりゃあ」
「……」
「カイン、僕はきみのことが何より一番大事だ」
「――俺だってそうだよ」
「本当に?」
「ああ」
「嘘でしょ?」
「そうかもな」
「…………」
「…………」
「でも僕は、…一番、好きだよ」
「本当は違うだろう?」
「本当だよ」
「それじゃあ、信じるさ」
「………」
「………」

「今日って、嘘をついても良い日なんだってね」
「ああ、知ってる」

「……カイン、僕は、…」
「…………」


 嘘だと解ってて言ったし相手だってきっと解っている。
 それでもそれなりに嬉しかったりするし同じくらい苦しかったりする。
 でもそれはきっと相手の言葉が真実だと解っていたとしても同じような感情が胸の中を渦巻くのだろう。
 だからどちらだって同じ。 二人の間の糸の結び目が硬かろうと既に解れて離れて宙を漂っていようと。 試すように指先で向こうの指先を探そうとしてそれが同時に触れたとしても何かを信じているようで疑い続ける。 嘘でも、本当でも。





end.




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今日ってエイプリルフールじゃん!!と思って慌てて書いたネタ。笑
タイトルは「嘘」が花言葉の植物"鬼灯"の英名をもじったものです。即わかった人はマニアよ!
普段片方の人間の一人称で心情ばかりつらっつら書くのでこういうのは非常に新鮮で楽しいです。書いてる本人だけが解ってる文になりかねないんだけど(´∀`*)

 09.04.01


 

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