たとえばこんな日常。





  +good time+





「一護」
 学校帰りの道。
 掛けられたルキアの声に、少し前を歩いていたオレンジ頭が振り返った。
「あンだよ?」
「いや・・・呼んでみただけだ」
「あァ?何だそりゃ」
「悪いのか?用が無くて呼んでは」
「・・・・・・・・・・・・」
 別に悪かないけどよ。
 訝しげに不満な表情でしばし間を置いた後、一護がぼそりと付け足した。
 その様子に何故か少し可笑しくなって、ルキアがくすりと笑った。


 用も無く人の名前を気安く呼ぶことなど、以前は無かったと思う。
 以前は仕事だけが自分の総てで

 その他の事など
 自分の範疇で無く。
 ただ虚と戦う事だけを考えて生きてきた。

 しかし

 一護に出会い
 やはり自分は変わったような気がする。

 前ほど 難しくはないような気がしている。

 誰かと共に歩く事
 息を吐く事
 用も無く 人の名を呼び

 自分を振り返って貰う事。


「一護」
「だァら、何なんだよ、さっきから!!」
 ついに焦れたように一護が額に青筋を浮かべ、しかしちゃんと振り向いてルキアを見た。

 その様子が何故か少し可笑しくて、ルキアは笑みを溢した。










 悪くない。

 ゆとりのある こんな日々も。











 終


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