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 そんな風には歩けない








  + 迷い子 +








 空が綺麗だったんですよ。

 青くて  雲一つない…とは言えないんですが
 でも青くて澄んだ…いえ、澄んではいませんね、むしろ深い深い青で、まるで吸い込まれそうなほどに 怖いほどに青すぎる空がとても綺麗で、



 少し 泣きたい気分だっただけなんですよ。







 道に迷ったわけではないんです。
 どこに行けば良いかわからないわけでもないし
 自分が今どこにいるのか わからないわけでもないです。


 でも なんだか
 自分が今いる場所がとても不安定で
 今にも崩れ落ちそうで
 例えば今にも 間違いを批判されてしまいそうな
 そんなぐらついた感じで


 この空の深さに 宙ぶらりんになってしまった そんな気分なだけだと いうのに




 とてもあの空に伸びて行く 飛行機雲のようには歩けないんですよ。





 暑い 真夏のそんな日に

 目の前が真っ白だか真っ暗だかどっちなのかは分かりませんが
 そんな心境に

 自分の足がちゃんと立っていると自信が持てなくなる

 そんな気分のときもあるんですよ。






 それは誰だってそうだと思うんですけどね。
 自分をちゃんと分かっていて
 自分の居場所もちゃんと確保できていて
 行く先もちゃんと見据えていて
 そうやって前へ歩いて行く


 そんなことができている人なんて いないと思うんですよ。



 自分がそうであるように見えて欲しい
 なんて思いはするんですけどね。







 だからいつでも
 分かっている道に迷っていて

 住み慣れた部屋で自分の座る椅子が無いと必死で探すような

 言ってみれば

 籠の中で迷子になっている状態なんですよ。







 頼れる大人だとか
 道を示してくれる誰かだとか

 そんな誰かにしがみ付いていれば安心もできるんでしょうが





 そんな人間存在しないって
 分かっていないほどに私は子どもじゃないから








 やっぱり 開けた場所で何も見えずに迷ってるんですよ。






 行く先がはっきりしている人に手を引いてもらえれば安心もできるんでしょうが



 だから 手を繋いでいるのが 抱き締めてくれるのが

 あなただから


 不安で涙が止まらないのは きっと当たり前のことなんです。




 私も泣いていて あなたも泣いていて

 かと言ってマイナスとマイナスでプラスになるわけもなくて


 泣き止むこともできないけれど






 私があなたの手を離せないのはなぜですか。
 あなたが迷子だって分かっているのに。




 あなたが私の手を離さないのはなぜですか。
 私が迷子だって分かっているはずなのに。




 きっと誰と居ても涙は止まらないだろうから

 せめて不安も笑顔で装える

 あなたのそんな相手が私だと言うのなら









 私は別の理由でも泣けそうです。


















 終









そんな気分のひよのさん。