夢見た空は何処まで続くのだろうか。



遠い、遠い昔の夢をみた。それは眼が開く瞬間に記憶は消えてしまったけれど。
――泣いていた気がする、と思うのは勝手な想いだろうか。
欠けた蒼空に手を伸ばして届けば良いと愚かな願いを抱く。――届いてほしかっ た。
果てない世界を見渡しながらいつになったらこの想いは果てることが出来る、と 神を恨むことも。
もどかしい想いの真実も悟ることが出来ず。


見つけたのは、まばゆい光。



逃げたかった、と言えば卑怯なのかもしれないけれど。でも自分は逃げることすらきっと何かの勇気を得たんだと、そう思っていた。
だからこれで良いのだと。―――そう思い込まなければ何もかもを抑え込めないのだから。


ブレードチルドレン、呪い、神、それ自体、本当は、本当は判っていたと言うのに。


それを壊したのは光。苛立つ笑みで何度も何度も入り込んでは
己の希望も、真実も、何もかもを壊し、奪いつくす。
――殺してしまえれば楽だったのかもしれないのに。



「…ま、そんな勇気はありませんか?」



勝ち誇ったあの笑顔が酷く苛立った。
非力な人間が無力な神の出来損ないの為に尽くす。
それが何を意味するか、そんなの知りたくもない。


神を越える瞬間?

本当に、そんな瞬間があるのだろうか。
ただでさえ臆病で自己中心的で、被害妄想の強いあの鳴海歩と言う男に。

そしてそれをこの少女は本当に信じるというのか。






「………賭けは、私の勝ちです。」





絶対的な威力。引き付けられるのは何故。
それはまるでこの空のように。



どれだけ腕を伸ばしても届かないような錯覚。




「…君が、君でなければ良かったのに……。」


君が君でなければきっとこんな想いもせず、また違う所で出逢えたかもしれない。
君が君でなければこんな風に銃と刃物を向け合うことも


敵対関係になることもなかった。




br>

そう、自嘲気味に不自然な笑みを形どればつられて彼女が苦笑するのが判った。



判ってる。




「…そう、ですね。」







判ってるよ。






だけど、
だから、








――夢をみた。見続けて、この夢が永遠に続けば良いとそう思った。
なのに突然

訳も判らない想いに占拠されて自分さえも判らなくなる。



届かない空がはがゆくて。






ずっと声を押し殺して泣いていた。







                  END.




 



-------------------------------------------------------------

ゆらしゃから10満打のお祝いでいただいてしまいましたーー!!
ていうかこんな素敵過ぎるものを本当にいただいていいのやら、ゆらしゃファンに刺し殺されそうで恐ろしいですが。 私自身がぶっちぎり愛振り撒き隊長なので許してください。(何)
いいだろー!!!(得意げ)
あぁ、カノひよ……蕩けそうなカノひよ…… 文章が本当に格好良いです。 敵対関係でありながら意識し合う二人が最高です(*T_T*)
ていうかもう文章のひとつひとつ、単語のひとつひとつが格好良い…本当素敵過ぎる…!!!!そのセンスをカケラでも、小さじいっぱいでも私にください!!(土下座)
てかもう、お祝いしてくださるというお気持ちが本当に嬉しすぎて嬉しすぎて…(号泣)
素敵すぎるカノひよ文、本当にありがとうございましたー!!大好きです(涙)

この小説の著作権は高岡結羅さまにあり、無断転載等の行為は堅く禁止とさせて戴きます。

高岡結羅さまの管理なさっているHP→空想月声